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2008年度 第3回講演会

日時 2009年2月18日(水)正午〜13時30分
場所 ホテルオークラ札幌B1「桃花林」
講師 昭和38年工学部卒 北海道大学名誉教授 工学博士 米山 道男 様
演題 「ハルピン滞在1年」


 北大の米山名誉教授を講師にお招きし本年度第3回講演会を開催しました。
 米山先生は、2007年の8月から翌年の7月までの約1年間、ハルピン工程大学で教壇に立たれました。先生のご専門は高分子化学と伺っていますが、ハルピンでは専ら日本語の教官として、中国人学生に日本語を教えていらしたとのことで、講演会ではハルピンで過ごされた1年間、親しくされた現地の方々との交流を通じてお感じになられたことを、スライドを使って当時のエピソードを交えながら、お話いただきました。
廣川会長開会挨拶
  「ハルピン(哈爾浜市)」は緯度を稚内、経度をソウルとほぼ同じくする、中国最北部黒龍江省の省都で、今からちょうど100年前の1909年に当時枢密院議長であった伊藤博文が暗殺された街としてもよく知られています。
 ハルピン市街区にあるハルピン工程大学は全寮制で、学内には教育施設のほか生活関連施設も揃っていて、先生は「外国人教官」として比較的恵まれた宿舎を提供されていたとのお話でしたが、写真で拝見する限り東京や札幌とは生活環境もだいぶ違うようで、ご苦労も少なくなかったのではという感じがしました。
 本日ご披露いただいた写真は、ツーショットから大人数の集合写真まで、その一葉一葉全て現地の方々を納めたもので、しかもその方々は、学生や同僚の教員、大学の事務員の方など職場の関係者にとどまらず、電話屋さん、コピー屋さん、床屋さん、リヤカーで引く屋台の主人から飲食店の従業員など実に多種、多彩。先生のハルピンでの交流範囲の広さが窺われました。
 先生によると、中国の人々の気質を一言で表現すると、実にストレートでよく言えば「おおらか」、悪く言えば「おおまか」ということのようですが、中国人の決して困難に負けない強さは日本人の及ばざるところだそうです。
米山先生御講演
 中国の学生達の対日感情は、反日教育や反日キャンペーンの影響もあってか、あまり宜しくないとのこと。その背景には、アジアの宗主国としての歴史的な誇りや、急速に進む経済的発展への高揚感、その一方で一足先に高度成長を遂げた日本への憧れや、日本から発信される若者文化への強い関心などが入り混じった大変複雑な想いがあるようです。
 また、多くの中国人が犠牲になった旧日本帝国陸軍731部隊の施設跡が陳列館として保存されていたり、抗日戦士の記念公園などが新しく造営されていたりもして、戦争の傷跡いまだ癒えずの感が強く、個人同士ではいくらでも仲良く出来るが、国同士となると真の友好関係を築くことがいかに困難なことかとあらためて実感されたとのこと。一度刻み込まれた歴史の重み、それを乗り越えていくハードルの高さを感じずにはいられません。
 先生は、30代に米国で過ごされた経験を通じて「白人は肌の色の薄い順に偉いと思い込んでいるのではないか」との印象を受け、その後、アジア共通の文化的背景に対する親近感や「近くの親戚とは仲良くしなければいけない」という自然な感情から、「東アジアとの人々と仲良くしたい、もっと相手のことをよく知りたい」という想いを強くされ、現在まで東アジアの友好支援の活動をお続けになっています。
 これまでの数多くの方々との交流を通じて、環境や文化的背景を異にする人々と、本当に仲良くしようと思ったら、相手に敬意を持ちつつ、自分にも自信を持つことが大切だと説かれました。「蔑視と過信」・「崇拝と卑下」いずれにも傾きやすい心的態度だけに、日々身近な所から自戒したいと思います。
講演会は100点近いスライドと折々のエピソードを楽しくお聞きするうちに、あっという間の70分が過ぎ、無事終了しました。
 
 
長野副会長閉会挨拶
 
 当日は、17名の会員の方にご参加いただきました。
 御講演いただきました米山先生ならびにご参加いただきました会員の皆様にあらためて御礼申し上げます。
(文責 藤井文世)
(事務局からのお知らせ)
 本日の講演はスライドー・ショー形式で行いましたので、講演要旨はありません。
 講演会配布資料に若干余部がありますので、会員の皆様で資料をご希望される場合は、講演会事務局までEメールでお申し込み下さい。
(北海道銀杏会講演会事務局 藤井文世)
 

 

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2008年度